レーン数は拡張性の指標みたいな物さ。
PCに挿せるからといって、
どんだけでも拡張出来るわけじゃないぞ!
皆様こんにちは、パソコン沼に生息しているがちゃこです。
パソコンを拡張する際に、マザーボードにパーツを取り付けると思うんですが、
挿したら挿しただけ使えるわけでは無いというのはご存知でしょうか?
実はパーツ拡張の上限はレーン数というもので決まっています。
今回の記事では、このレーン数とはなんぞや?について解説していきます。
いつも読んでくださっている読者様にはまるで興味の無い内容かもしれませんが、
調べても中々出てこなかったので、
これPV増えるんじゃない?という事で書かせていただきます。
この記事を読む事で、自分のパソコンにあとどれだけの拡張性があるかを把握できるようになるかと思います。
私自身浅い知識ではありましたが、分からない所はIntel様やASRock様に電話で聞き、ようやく補完されました。
一応自信を持って書いていますが、間違っている場合はコメントやお問い合わせから指摘していただけるとありがたいです。
では、
レディゴッ!
目次
前知識1:チップセットとは?
レーンはCPUの持つレーンとチップセットの持つレーンの2つが存在しますが、チップセットとは何かわかってないとわけわかんない事になるので、チップセットについて必要なとこだけ紹介します。
チップセットとは、マザーボードに最初から搭載されている集積回路の事で、
パソコンの拡張性やPCIeの世代やCPUレーンを最大限使えるか等はチップセットによって決まります。
チップセットにはグレードがあり、グレードの高いチップセットが搭載されているほど拡張性が高く、搭載されているレーン数も多い傾向があると覚えておきましょう。
前知識2:PCI express(PCIe)とは?
レーン数は、正確には「PCIexpressレーン数」の略なので、レーン数の話をする際にPCIexpress(略してPCIe)について理解しておかないとわけわかんない事になるので必要なとこだけ紹介します。
マザーボードの拡張カードを挿す所をPCIeスロットと呼びます。
PCIeとはパーツとマザーボードを繋ぐ接続方式の事で、マザーボード上のPCIeスロットに拡張カード(M.2SSDやサウンドカードやWi-Fiアダプタ等)を取り付けた際に、パーツとCPUやチップセットを直接通信するめちゃ速い接続方式の事です。
また、上の写真のPCIスロット以外にも、マザーボード上のM.2スロットもPCIe接続ですがややこしいので今はPCIeスロットの変種と思っておいてくれればと思います。
PCIeスロットにはx1、x2、x4、x8、x16(x32)みたいな形状(厳密には形状では無いが便宜上形状と表現)があり、
これが消費レーン数を表しています。
また、PCIeには1.1や2.0や3.0や4.0みたいな数字があり、これはPCIeの世代であり1レーンの速度でもあります。
世代が上がるにつれて通信速度も速くなり、PCIe4.0×16だと32GB/sという超速度の通信になります。
PCIeの世代はマザーボードのスペック表に書いてありますが、2021年現在だと3.0と4.0の過渡期といった感じです。
PCIeの世代と消費レーンの速度は以下の表を参考にしてください。
PCIe1.1 | PCIe2.0 | PCIe3.0 | PCIe4.0 | |
x1 | 2.5Gbps | 5Gbps | 8Gbps | 16Gbps |
x2 | 5Gbps | 10Gbps | 16Gbps | 32Gbps |
x4 | 10Gbps | 20Gbps | 32Gbps | 64Gbps |
x8 | 20Gbps | 40Gbps | 64Gbps | 128Gbps |
x16 | 40Gbps | 80Gbps | 128Gbps | 256Gbps |
x32 | 80Gbps | 160Gbps | 256Gbps | 512Gbps |
要は、PCIe3.0 x16って書いてあったら、第3世代のPCIe接続でレーンを16本消費するので128Gbpsの速度で通信が出来るという感じですね。
ややこしいですか?ややこしいですね。
以下の解説でややこしさを軽減できればと思いつつ頑張って書いていきます。
PCIeレーンとは
PCIeレーンとは、PCIeスロットとCPUやチップセットが通信する為の通信経路の事です。
PCIeレーン数とは、通信経路の数の事(レーンの本数)で、CPUやチップセットが元々持っている通信経路の数(最大レーン数)と、パーツを挿した際に消費する通信経路の数(消費レーン数)があります。
16レーン持ってるCPUに、16レーン消費するグラフィックボードをPCIe x16スロットに挿すと、16本のレーンでCPUと接続されます。PCIeの世代が3.0だとすると、1レーンの速度が8Gbpsなので、8G×16で128Gbpsの通信といった感じです。
CPUやチップセットの最大レーン数以上のパーツを山盛り接続しようとしても、パーツの性能が制限されたり認識しなかったりするので注意しましょう。
よくわかんない場合は高速道路をイメージするとわかりやすいかもしれません。
- レーン=高速道路
- 最大レーン数=高速道路の増築可能最大数
- 消費レーン数=開通してる高速道路の数
- PCIe世代=高速道路の広さ
逆に余計分かりにくくなるかもしれませんが自分の文才を信じます。
例えば16レーン持つCPUは、
CPUレーンに対応したPCIeスロットにPCIe x16(16レーンの事)のグラフィックボードを挿すと、
CPUとグラフィックボードの間の16車線を使って、データのやり取りが開始されます。
16レーンのCPUに16レーン消費するグラボを挿すと、残りのレーンは0になります。
ただ、後述しますがマザーボードによってはグラボを2枚挿した場合帯域をx8+x8に分割することで2枚とも使える様になったりします。
例えば24レーン持つチップセットは、
チップセットレーンに対応したPCIeスロットにPCIe x4のM.2(NVMe)SSDを挿すと、
チップセットとSSD間の4車線を使って、データのやり取りが開始されます。
24レーンのチップセットに4レーン消費するSSDを挿すと、残りのレーンは20になり、あと20レーン分の拡張パーツを取り付ける事が可能です。
後述しますが、合計24レーンを超えてしまった場合はパーツの性能が落ちたりそもそも機能しなかったりします。
CPUとチップセットが持つレーン数は、幅が広く性能の高い道路が高額なのと同じように、ハイエンドであるほどレーン数は多い傾向にあります。
また、PCIe3.0や4.0といったPCIeの世代は1車線の幅の様なもので、道路の幅が広いほどより多くの車が通れるように、世代が上がる程より高速なデータ通信が可能になります。
まとめると、
- CPUとチップセットの持つレーン数が多いほど、多くのパーツを取り付けられる。
- CPUとチップセットの持つPCIeレーン数は拡張性能を表す指標とも言える。
- CPUやチップセットがハイエンドであるほどレーン数は多い傾向にある。
- PCIeの世代が上がる程より高速な通信が可能になる。
といった感じです。
さて、
ちょこちょこ話にでましたが、レーンにはCPUのレーンとマザーボード(チップセット)のレーンが存在しますので、その辺りの違いについて以下で解説していきます。
CPUのレーン
CPUの持つレーン数は、CPUによって様々です。
例えばcore i9-11900Kは20レーン持っていますし、Ryzen7 5800Xは24レーン持っています。
CPUの最大レーン数を確認する方法は、「CPU名 レーン数」でググると出てきます
CPUレーンの特徴は、通信速度が重要(32GB/sとか)なグラフィックボードで主に消費されます。
グラフィックボードはリアルタイムで超速い演算が必要な為通信速度が重要になるのです。
通常のグラフィックボードはPCIex16で接続する為、グラフィックボード1枚で16レーン消費されます。
なので、H410の様なレーン数の少ないチップセットを搭載したマザーボードだとグラボは取り付けられないんじゃない!?という心配は無用で、ちゃんとCPU側のレーンで動作するので安心しましょう。
CPUレーンに対応するPCIeスロットはマザーボード一番上のPCIe x16スロットであることが多く、ATXマザーボードの場合はその下のx16スロットもCPUレーンに繋がってる場合が多いです。(マザーボードによって違うけど大体そう)
16レーンのグラフィックボードを2枚取り付けたら32レーンになるから、16レーンのCPUじゃ足りないのでは?と思うかもしれませんが、その場合はCPUレーンが8+8に分割され、8レーンのグラフィックボードが2枚接続されていると認識します。(チップセット側の設定によります。)
チップセットのレーン
チップセットの持つレーン数も、チップセットによって様々です。
例えば、Z590は24レーン持ってますし、B550は20レーン持ってます。
マザーボードのレーン数を確認する方法は「チップセット名 レーン数」でググると出てきます。
チップセットのレーンの特徴は、そこまで速度が重要ではないサウンドカードやWiFiアダプターやM.2SSD等の色々な拡張パーツで使われます。
M.2SSDもWiFiも速度が重要だよ!と思われるかもしれませんが、PCIe接続の数十Gbpsが必要なパーツはグラフィックボードくらいで、他のパーツで速度が足りない事はまぁないので安心してください。(今後のSSDがどうなるかはわかりませんが)
24レーンのチップセットの内、拡張パーツで23レーン消費してしまった場合に、4レーン消費するM.2(NVMe)SSDを取り付けた場合は、マザーボードの設定にもよりますが1レーンで認識したりで性能が制限されたりします。そもそも認識しない事もあるようです。
レーン数の計算・カウント方法
グラボ1枚、M.2SSD1枚という構成の普通の使いかたならレーン数はあまり気にする必要は無いですが、拡張カードをいっぱい取り付けたい方にとってはレーン数の計算方法は死活問題になり得ますので紹介していきます。
レーン数の計算をするにあたって、CPUとチップセットの最大レーン数をググって調べた後に、
取り付けたいパーツがどれ位レーンを消費するかを見ておかねばなりません。
一般的に、
- サウンドカード:x1(中にはx4等もある)
- M.2SSD:x4
- M.2WiFiアダプター:x4
- WiFiアダプター:x1(中にはx4等もある)
といった感じですが、無難な方法は拡張カードの挿し込む部分の幅を見るのが良いでしょう。(M.2はx4が多いです)
x1~x16までそれぞれ規格があり、消費レーン数が多いほど幅が広いです。
消費レーン数を確認したら、CPUかチップセットどちら側のスロットに挿すかを確認して、対応する最大レーン数から
引き算したらOKです。
大事なのは、「CPUかチップセットのどちらのレーンを消費するか」です。
対応スロットの調べ方は以下で紹介します。
また、例外としてAMDの場合はチップセットとCPUを接続する為に4レーン消費したりすることもあるようなので注意しましょう。
なので、新しく拡張パーツを取り付ける際は現在使用中のレーン数を確認してからにしましょう。
どっちのレーンに対応するPCIeスロットか調べる方法
では、このスロットはCPUのレーンに繋がっているのかチップセットのレーンに繋がっているかわからない場合はどうしたらいいのでしょうか?
結論から言うと、マザーボードによって様々ですので自分で調べる必要があります。
ただ、一般的な話になりますが、1番上のx16スロットはグラフィックボードを挿す為CPUレーンに繋がっている事がほとんどです。これ以外はマザーボードによって様々なので、一概に「このスロットはCPUレーンだよ!」とは言えないです。
また、M.2スロットと一番下のPCIe x16スロットが排他(どっちかしか使えない)の場合があったり、上2つはCPUで一番下だけチップセットレーンだったり、ほんとにマザーボードによって様々なんです。
なので調べる方法としては
- マザーボードのサイトやマニュアルを見る
- マザーボードメーカーのサポートに連絡して聞く
の2つです。
マザーボードによっては親切に公式サイトやマニュアルに書かれている場合もありますので、その場合はそれでOKです。
しかし、マザーボードの公式サイトやマニュアルに書かれていない場合は、どういうレーン構成なのかをサポートに聞くほか無いようです。
販売店では無くメーカーに連絡するのがポイントかなと思います。
浅い知識ではありますが、レーンについて知ってる事や調べた事について書いてみました。
ご指摘等受け付けております。
この記事が読者様のパソコン拡張に一役買えば幸いに思います。
コメント
とてもわかりやすかったです。ありがとうございました!
高速道路の例え、非常に分かりやすくて理解が深まりました!感謝してます!