空冷CPUクーラーって
何で冷えるの?
どういう用途?どんな種類があるの?
という方に基礎から紹介してみます!
皆様こんにちは、熱しやすく冷えにくいi9のようなブロガーのがちゃこです。
CPUクーラーには大きく分けて空冷と水冷があります。
なんだそれ?という方はまずはこっちの記事で2分くらいで流し読みしてきてほしいのです。
で、今回の記事は↑の記事の空冷の項目をより詳細に紐解いていく感じになります。
というわけで、
『明日から少しドヤれる空冷CPUクーラーの基礎知識からちょっと詳しいところまでを紹介』
と題しまして、
- 空冷CPUクーラーとは?
- 空冷CPUクーラーの種類
- 空冷CPUクーラーの構造・原理
- 現行CPUは空冷でどこまで冷やせるのか?
- CPUクラス別定番空冷クーラー
をまとめてみました。
少しドヤれるは言い過ぎたかもしれません。
でもいい事言ってるんで読んでくれたらうれしいなって。
尚、今回の記事ではCPUクーラーの取り付け方法については触れていないので、
「取り付け方法ないんかよ!」と思った方は
ちょっと古いですが、こちらの記事を見てもらえればと思います。
では、
レディゴッ!
目次
空冷CPUクーラーとは?
CPUクーラーとはCPUを冷やす為の必須PCパーツで、空冷CPUクーラーとは、空気(風)の力でCPUを冷やすタイプのCPUクーラーの事を指します。
空気で冷やすので空冷CPUクーラーとか空冷クーラーとか空冷と呼ばれています。
他の種類のCPUクーラーは、水冷CPUクーラー、簡易水冷CPUクーラーなどがあります。
空冷CPUクーラーの性能は物によって様々で、冷却性と静音性で測られます。
CPUを冷やしきれないクーラーを選んでしまうと、強制的にCPUの性能が落ちるようになっていますので、空冷CPUクーラーの選び方としては、使用するCPUがどの程度発熱するかによって適した性能の物を選ぶのが良いでしょう。
画像はグラフィックボードGTX970シングルファンのサーモ画像ですが、基盤表面温度で最大89℃辺り、チップ温度では100℃を超え性能が落ちた時の参考画像です。
CPUも同様で冷却が間に合っていないと熱が上がりまくり性能が落ちます。
空冷CPUクーラーの種類 3つ
空冷CPUクーラーの種類は
- サイドフロー型:ミドルエンドCPUまでの現在の主流
- トップフロー型:一昔前の主流
- ファンレス型:使っている人をほとんど見ない
の3種類があります。
サイドフロー型
サイドフロー型 DEEPCOOL ASSASSIN III
現在の主流空冷クーラーであるサイドフロー型。
サイドフロー型の空冷クーラーは、サイドに設置されたファンから吸気してヒートシンクを横向きに風が通りケース背面に向けて風が抜けるようになっています。
現在はミドル~ミドルハイクラスまで(i3~i5くらい)のCPUで主流で使われています。
しかし、ハイエンド帯のCPUでは発生する熱が非常に多く空冷は力不足感があり、AIO水冷が使われる事がほとんどになってきました。
サイドフロー型のメリットは、
- 効率よく冷やせる
- エアフローを阻害しない
サイドフロー型のデメリットは、
- 性能が良い物はでかい
- メモリやマザボのヒートシンクと干渉する事もある
- 高さが足りず蓋が閉まらない事がある
辺りが挙げられます。
メリットが少ない様に感じるかもしれませんが、効率よく冷やせることがクーラーにとって一番重要なメリットになりますので、現在主流で使われているのもうなづけます。
しかし、ケースと干渉し取り付けられなかったりサイドパネルが閉まらなかったりする事もありますので注意が必要です。
サイドフロー型を選ぶ際は、使用するケース、メモリ、VRMヒートシンクの高さ等寸法を確認してから、適合の取れる物を購入すると良いでしょう。
トップフロー型
トップフロー型の空冷クーラーは、トップに設置されたファンから吸気してマザーボード側に空気を流す形になっています。CPUを買った時についてくるリテールクーラーがそれです。
第1世代コアシリーズくらいまではトップフローのものがほとんどだったんですが、世代を重ねるごとにCPUがどんどん熱を持つようになり、冷却性・将来性の高いサイドフローに移行されていき今では純正以外は駆逐されつつあります。
現行のi3くらいであればCPUについているリテールクーラーでも充分冷えます。
メリットとしては、
- 低いのでいろんなケースに取り付けられる
- マザーボードも若干冷やせる
- 近くのSSDも若干冷やせる
- 近くのVRMも若干冷やせる
デメリットとしては、
- サイドフローに比べて空気の流れが効率良くないので冷却性に劣る
- ケース内のエアフローが乱れる
- 製品の種類が少ない
辺りが挙げられます。
ローエンドであればリテールクーラーで充分ですし、CPUクーラー代が浮くのはかなり大きいのでなくてはならない存在であると思います。
使用するCPUからちゃんと冷やせると判断できるのであれば、大変ありがたいクーラーです。
ファンレス型
ファンレス型のCPUクーラーはファンの無いクーラーの事で、ヒートシンクからの自然放熱とケース内のエアフローだけでCPUを冷やしてやろうというごつい漢気あふれるCPUクーラーの事です。
私は使った事が無いので何とも言えないんですが、色々見ているとやはり質実剛健といった感じです。
あと価格が高いです。
簡易水冷が買えるくらいの値段がします。
また、ファンを増設する事で通常のサイドフロー型として使えるようです。
上手くやればハイエンドのサイドフローと戦えるくらいのポテンシャルを持っているのかもしれないです。
メリットとデメリットは割愛します。
空冷CPUクーラーの用途
先程少し触れましたが、空冷CPUクーラーの用途としては、
ローエンド~ミドルハイエンドまでのCPUを冷やす為に使うのが良い
といった感じになります。
もちろん空冷CPUクーラーにもランクがあって、安いCPUクーラーより評判も価格も高いCPUクーラーのが良く冷えます。
自分が使いたいCPUを見て、ちゃんと冷やせるものを選びましょう。
空冷CPUクーラーの構造・原理
空冷CPUクーラーの構造をめっちゃシンプルに紹介すると、
空冷CPUクーラーは、
- ヒートシンク
- ファン
という2つの部品から出来ており、
取り付ける際はCPUクーラーとCPUの間にグリスを塗って取り付けます。
原理的には、
- CPUが熱を発する
- 熱がCPUグリスを通ってヒートシンクに移動
- ヒートシンクに溜まった熱をファンの風が一掃する
- ケース外に排熱
みたいな感じです。
空冷CPUクーラーを購入するとヒートシンクとファンがセットになってます。
なので、空冷CPUクーラーの性能を話す時はヒートシンクとファンを含めてどれ位CPUが冷えるのかで話す事が多いです。
どういう事かというと、
「このCPUクーラーのヒートシンクは優秀だけどファンはちょっと微妙かなぁ」
みたいな話はあまり聞かないです。
また、CPUクーラーに付属してくる部品は、基本的にヒートシンク・ファンの他に、マザーボードに取り付ける為のプレート類や、ファンを取り付ける為のクリップがついています。
空冷CPUクーラーのヒートシンクの構造・原理
上でヒートシンクと一口に紹介しましたが、ヒートシンクは3つの部品に分けることが出来、それぞれ役割を持っていますので、その辺りを細かく紹介していきます。
空冷CPUクーラーのヒートシンクは
- ヒートスプレッダ
- ヒートパイプ
- 放熱フィン
の3つから出来ています。
原理的には、
- CPUが発した熱を
- ヒートスプレッダが受け取り
- ヒートスプレッダの熱がヒートパイプに移動し
- ヒートパイプの熱が放熱フィンに移動する
みたいな感じです。
素材としては、熱伝導率の関係で銅やアルミが使われています。←ここ重要
この記事に限らず、ヒートシンク関連の記事を読む上での基礎知識として、
- 熱伝導率が高いほど熱が移動しやすい
- 熱伝導率は鉄<アルミ<銅の順で高い
- ニッケルは腐りにくい
の3つを頭に入れておいていただけると読みやすいかと思います。
「銅はすごいけど錆びるからニッケルをまとい最強となる」
だけでもいいです。
ヒートスプレッダとは 役割・重要性・原理
DEEPCOOL ASSASSIN III ヒートスプレッダ
ヒートスプレッダとはCPUと直接触れる平面部の部品の事です。
ヒートスプレッダとCPUを面で密着させる事でCPUの熱をヒートスプレッダに移動させる役割があります。
密着する表面積が広い程、効率的にCPUの熱を逃がすことが出来ます。
ヒートスプレッダの重要性は、物によっては100℃になろうかというCPUの熱を1番目に受ける部品なので超重要です。
ここが疎かになると、ヒートシンクの他の部品がどれだけ優秀でも冷やせるものも冷やせません。
例えばヒートスプレッダの面がガタガタだったり歪んでいたりすると、密着性が悪く冷却効率が悪いという感じです。
ヒートスプレッダの面について
ちなみにヒートスプレッダの面については鏡面でピカピカだと密着していいんですがそれだけではないです。
グリスの柔らかい性質を加味した上で敢えて0.1mm程度の凸凹をつけ、表面積を上げて熱の移動効率を上げる工夫が施してある物もあります。
要は、ピカピカな面もいいけど計算された凸凹はもっといいっていう話です。
ヒートスプレッダの材質について
ヒートスプレッダの素材には、銅やアルミが使われる事が多いです。
性能的には、アルミ<銅(ニッケルメッキ)≦銅の順に高いといえます。
ただ、銅は錆びる性質がある為、長期運用する事が多いCPUクーラーにおいてはニッケルメッキした銅が最適と言えます。
お高い空冷CPUクーラーはニッケルメッキが使われている事が多いです。
まとめると、
『ヒートスプレッダは熱伝導率の高い素材でCPUとより広い面積を密着させる事が重要』
とった感じです。
ヒートスプレッダ内には後述するヒートパイプが貫通しており、ヒートスプレッダの熱を効率的にヒートパイプに伝達できるような構造になっています。
ヒートパイプとは 役割・重要性・原理
ヒートパイプとは、ヒートスプレッダから生えている棒状(パイプ)の部品の事です。
ヒートスプレッダに溜まった熱を放熱フィンに運ぶ役割があります。
微弱ながらヒートパイプも放熱しますが、基本的な役割は放熱フィンに運ぶ事です。
ヒートパイプの重要性は、バケツリレーで言う所のバケツを運ぶ人くらい重要です。(伝わって欲しい)
ヒートパイプの性能が弱いとせっかくヒートスプレッダに移動した熱を放熱フィンに移動しきれない為、ヒートスプレッダの熱が上がり続けCPUが冷えないという事になりますのでとても重要な部品です。
ヒートパイプの中身
ヒートパイプの中には少量の液体が入っており、液体が熱によって気化する事でヒートパイプの先端まで熱を運ぶことが出来るようになっています。また、内面はザラザラになっており、気化した液がある程度とどまれるような構造になっています。この2つが合わさる事で効率的な熱移動を可能にしています。
理屈としてはヒートパイプの本数が多い程冷却性が高いといえますが、パイプまみれで放熱フィンのエアフローを邪魔したり、放熱フィンが熱を処理しきれなくては元も子も無いので、なんだかんだバランスが大事です。
ヒートパイプの素材
素材は銅やニッケルメッキされた銅が使われる事が多いです。
放熱フィンとは 役割・重要性・原理
放熱フィンとは、ヒートパイプがささっている所の、よく切れそうな金属製の板の事です。
放熱フィンはヒートパイプが持ってきた熱を吸収し、広い面積を利用して帯熱し、大気中にモワッと放熱したりする役割を持っています。
放熱フィンの性能が低いと、ヒートパイプの熱を吸収しきれない事になりCPUの温度が上昇し続けてしまいますので、とっても重要な部品です。
放熱フィンが足りないなら放熱フィンをもっと敷き詰めたらいいじゃない?と思うかもしれませんが、そうするとフィン同士が近づきすぎるという事になってしまい、大気中に放熱した熱をフィンが吸収するというわけのわからない事になってしまいますので、フィン同士にはある程度の間隔が必要です。
じゃあ、もっと間隔開ければいいじゃない?となるかと思いますが、そうすると今度は巨大化してケースに収まらないとか、フィンを冷やす為のファンが無いとかいう話になってきます。
要は、バランスが大事です。
一般的にファンのサイズは、90mm120mm140mmみたいな規格がありますので、放熱フィンの設置幅はファンのサイズギリギリで設計されている事が多いです。
140mmのファンで200mmの範囲は冷やせないのです。
素材はアルミやニッケルメッキ銅が使われる事が多いです。
ヒートシンクの冷却性能は何で決まるのか?
というわけで、ヒートシンク全体の性能は、
- 使われている素材
- 形状
- 各部品の配置などの構造
で決まると言えるでしょう。
3つの部品それぞれが重要な役割を担っています。
空冷CPUクーラーのファンの役割・理屈
ヒートシンク(放熱フィン)に溜まった熱を冷やすのがファンの役割です。
CPUクーラーを買うとファンもセットで付いてくるので、ファンだけ交換して試してみる人はあまり見かけませんが、通常の規格であれば付属のファン以外もつけられることが多いです。
ただ、効果が無いわけではないので、水冷を使いたくないという人は色々試しているようです。
さて、
ファンの性能は
- 風量
- 静音性
の2つで測られる事が多いです。
- 風量が多い程良く冷え、
- 回転数が多い程風量は多く
- ファンが大きい程低回転で風量が多いです
しかし、
回転数が多い程うるさいですし、
うるさいほど快適ではないです。
優秀なファンは、
- 回転数が低いのに風量が多い
- 回転数が高いのにうるさくない
- サイズが小さいのに風量が多くうるさくない
物であるといえます。
風量
風量はファンが風を押し出す量の事です。
風速とはちょっと違います。
測定した風速を元に計算するのが風量です。
風量の単位はCFM(立方フィート毎分)が使われる事が多いですが、メーカーによっては立方m/h(立方メートル毎時)が使われる事もあります。
単位の換算が非常にめんどいなぁと常々思っておりますのでメーカーさんは改善してください。
数字が大きいほど風量が高く、冷却性能が高いといえます。
風量は風速の測定が出来ればファン径からザックリと求めることが出来ます。
『面積(平方m)×風速(m/s)=風量(立方m/s)』
例:Φ140mmファン 測定風速2.5m/s の風量
- 0.07×0.07×π×2.5=0.0385(立方m/sec)
- 0.0385×60=2.31(立方m/min)
- 2.31×60=138.6(立方m/hr)
- 138.6÷1.7=81.53(CMF)
みたいな感じです。
厳密には風が通り抜ける所の面積なので、140mmファンと言っても137mmだったりします。
また、スペック表に書いてある性能は「最大」風量であることがほとんどなので、測定環境や方法がもっと緻密です。
おいおい風量実測してみたけどカタログより低いじゃん!とか早とちりしないように気を付けましょう。
静音性
ファンの静音性はファンのうるささや音量と言い換えられることが出来、単位はdB(デシベル)で表されます。
うるささの目安として、私が実際に測った主観ですが、
- 30dbまでは聞こえない 寝れる
- 40dbまでは気にならない 寝れる
- 50dbまでは結構ヤバい 寝れない
- 50db以上は辛抱たまらん 頭おかしくなる
みたいな感じでした。
また、音には音量の他に音の高さがあります。
回転が速いほど音量は大きく音は高いです。
今回の目安は飽くまでファンが回転する周波数(音の高さ)での耳障りな音量としてみてもらえればと思います。
空冷CPUクーラーにおけるファンの数
ファンが多い程多くの風量を確保できます。
ハイエンドの空冷クーラーにはデュアルファンやトリプルの物もあります。
しかしながら、多ければいいというわけではないです。
空気の流れを一方向に、かつ室温に近い温度の風をヒートシンクに効率よく当てるのが大切になります。
ヒートシンクの右側にファンを3つ付けたら3倍冷えるというわけではないので、空気の流れを考えましょう。
現行CPUはどこまで空冷CPUクーラーで冷やせるか?
ローエンド~ミドルエンド帯までなら空冷クーラーでも運用可能です。
むしろそのクラスでは空冷が主流と言えるでしょう。
2023年現在では、CPUの爆熱化が進んでおり簡易水冷が主流になりつつありますが、それはミドルハイ~ハイエンドクラスCPUを冷やす場合と言えます。また、例え簡易水冷であっても選択を間違えれば現行のハイエンドクラスCPUを何の設定も無しに冷やす事が出来ない事もあります。
また、ミドルハイエンド帯であっても、電力制限等のチューニングをしてやればハイエンド空冷で冷やす事が可能です。
なので、シンプルに言ってしまえば、空冷クーラーの需要はまだまだあるといった感じです。
定番の空冷CPUクーラー
空冷CPUクーラーって種類がいっぱいあり、しかも物によって性能も全然違います。
自作初心者にとってはそもそも有名どころや定番がわからなくて選ぶのがだるくなるパーツでもあります。
一番いいのはショップ店員さんや有識者に聞いて選ぶのがいいと思いますが、
ここではあくまで目安、一つの指標として2023年現在の有名所を紹介して記事を締めたいと思います。
ローエンドCPU用 現行i3
リテールクーラーでOK
ミドルエンドCPU用 現行i5
DEEPCOOL AK400
NOCTUA NH-D12L
ミドルハイエンド~ハイエンド(要設定)CPU用 現行i7~
DEEPCOOL AS500
NOCTUA NH-U12A
NOCTUA NH-D15
DEEPCOOL AK620
DEEPCOOL ASSASSIN III
下に行くにつれて冷却性能が高くなるように並べてみました。
価格やサイズ等考慮した上で参考にしていただければと思います。
オススメは、ケースとマザーボードが対応してるならASSASSIN IIIが良く冷えるしコスパ高いかなって思います。
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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